高齢者の心理がわかるQ&A
高齢者の心理がわかるQ&A―ほんとうの高齢者を知るための、66の疑問
- 作者: 井上勝也
- 出版社/メーカー: 中央法規出版
- 発売日: 2005/04
- メディア: 単行本
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平成25年2月7日 読了
まとめ:
「老い」は多次元的・複合的で平均的にみることができない。「個別性」をみることが大切。
高齢者は生きがいがないどころか、多くの生きがいをもっている。
「年をとれば誰でもぼける」というのは誤りであり、認知症と正常な老化現象としての精神的な衰えを区別することが重要。
目次:
1章 エイジング
2章 ライフスタイル
3章 家族
4章 孤独・生きがい
5章 社会参加
6章 性
7章 健康
8章 介護
9章 認知症
10章 死
キーワード:
発達の「多元性」と「複合性」 p12
1人の人間には、その年代、年代で、さまざまな機能が多次元的・複合的に重なり合っている
平均だけを追い求めても、「老い」の実像はなかなかみえてこない。そこにある個人差に目をやり、その個人差をもたらす要因をつきつめていくことによって、はじめて平均ではない老いの「個別性」がみえてくる p13
加齢に伴う知的機能の特徴
①生理機能、特に神経系の機能の低下によって、「速さ」が求められるような基本的な処理能力は低下している可能性が高い
②課題が単純な場合は、若い人との大きな違いはそれほどみられないが、複雑になると、処理能力をオーバーしてしまい、てきめんに差が生じてしまう
③「熟知性が高い」「よく経験している」「日常的」「領域固有な」場面になると、おそらく、その処理が自動的になされ、もちうる処理能力の中での操作が可能となる
④そのことによって、若い人と比べても大きな差が生じなくなったり、領域によっては遂行に優れる部分も生じてくる
100歳以上の高齢者で知的レベルもなお維持している人たちの共通する行動特徴の1つは、「生きがい・趣味・交友があり、人生を楽しんでいる」というもの p29
高齢者は生きがいがないどころか、多くの生きがいをもっている p67
高齢者のもつ”喪失感への補完”
生きがいがあれば喪失感ではなく、人生に価値や意味を感じながら生きていける
高齢者の4つの喪失 p72
①身体と精神の健康の喪失
②経済的自立の喪失
③家族や社会とのつながりの喪失
④生きる目的の喪失
高齢者は有用感をもちにくくなっている p79
高齢者に有用感をもってもらうためには、周囲の人々が効率性のみを求めるのではなく、人間としての存在価値を認めるようになることが必要
「セックスは両脚の間に、セクシュアリティは両耳の間にある」 p93
セクシュアリティは大脳による営み
愛情や思いやり、愛情への欲求、さらに、男性性や女性性までも含む概念
性機能の低下し、たとえ不能になっても、愛し愛されたいという欲求
高齢期は肉親や配偶者、友人など大切な人との別れが多い時期 p100
病気や死の不安にも直面する
分かれの寂寞感や孤独感、病気や死の不安を癒すものとして、高齢期こそスキンシップが必要
高齢者の機能的体力テスト p130
日本版「60歳以上の人のための機能的体力テスト」
5種類の体力測定項目
柔軟性=長座位体前屈、平衡性=バランス歩行、巧緻性=缶置き換え作業、筋持久力=腕屈伸テスト、全身持久力=804m速歩
3種類の形態測定
身長、体重、身長と体重の比から求めるPonderal Index
「生活体力テスト」
4種類の体力測定項目
①起居能力:立ち上がったり、座ったりする時間
②歩行能力:10mをジグザグに歩く時間
③手腕作業能力:ペグ棒の差込時間
④身辺作業能力:ロープを回す時間
「新体力テスト」
成人期前期(20~64歳)と成人期後期(65~79歳)に分けて、体力パラメーターごとの測定項目を作成
成人期後期の体力測定項目
「握力」「上体起こし」「長座位体前屈」「10m障害物歩行」「開眼片足立ち」「6分間走」および「ADL(日常生活活動調査)」
オムツを論ずる時、オムツの是非を問うのではなく、オムツをせざるを得ない状況に陥った時の、高齢者本人の身体的状況と心理的背景、そして、介助者側の対応について考えることが重要 p154
「年をとれば誰でもぼける」というのは誤りであり、認知症と正常な老化現象としての精神的な衰えを区別していないと、大きな問題に陥りかねない p167
アクションプラン:
高齢者への先入観をなくし、その人をみる