「ビジネス・マネジメント・スタジアム」
平成26年4月20日 読了
まとめ:
落合前中日ドラゴンズ監督から学ぶこれからの時代のマネジメント術
1.自分の勝ちパターンを頑なまでに守る「針鼠の概念」
2.逆算から考える「バリューチェーン」
3.一人が欠けてもチーム全体で補う、ヒトデ型の「自律・分散・協調型組織」
4.<場>のマネジメント
5.「U理論」センシング・プレゼシング・リアライジング
目次:
プロローグ
Chapter1 長期的な成功を約束する「針鼠マネジメント」
Chapter2 有機的なつながりをもつヒトデになれ
Chapter3 「個の時代」に求心力を生む<場>の思想
Chapter4 勝利ではなく、勝負の方程式
エピローグ
キーワード:
昨日の自分に勝つ
相手に惑わされるのではなく、勝つための仕組みへと相手を引き込むー。
そこに複雑系の世界を生き抜くための知恵があります。
こうした知恵には、「ここまで到達すれば大丈夫」というようなゴールはありません。世界がどこまで行っても予測ができないように、その世界に対応するための知恵も、ただひたすら磨き続けることが求められます。
p43
現代社会という複雑系の世界において、部下をマネジメントするときには、客観的基準によって努力を促すよりも、その人自身のもっている能力を基準に、昨日よりも今日、今日よりも明日と、成長を促していくべきなのです。
p45
答えを教えない
組織の持続可能性(サスティナビリティ)というのは、個人の卓越した能力とコミットメントによって実現するものではなく、組織中にある具体的な仕組みによって実現すべきことなのです。リーダーやマネジャーとして、仕組みの構築に取り組む必要があります。
まず、第一歩として、「時を告げてはいけない」という禁忌をみずからに課すことが重要です。
組織には「四番」と「エース」という軸が欠かせない
軸となるメンバーに、その仕事に専念してもらえる環境を組み立てていくことで、会社組織としても、優れたパフォーマンスをあげられるわけです。
つまり、「軸を定める」とは、メンバー間のつながりの「見える化」でもあるのです。
そして、メンバーの関係性を「見える化」することで、シーズンを通じて、いつも同じ戦い方ができるようになるのです。
p76
ビジネスでは「提供する価値」から逆算する
ビジネスにおいても逆算思考は、非常に重要です。
野球が「勝利からの逆算」であるのなら、ビジネスでは「提供する価値からの逆算」になります。最終的に、顧客にどのような価値を提供するのか。そこから逆算しながら美jネスを組み立てていくのです。
四番バッターを寄せ集めても試合に勝てないように、本質的に何に価値を感じるのかというブレない軸を定めて、そこへ必要な価値のネットワークをつくっていくことが重要です。
そのためには、商品そのものについても、購入されるだけでなく、どのように利用してもらえるのかまで、しっかりとイメージしながら企画することが重要です。
p96
勝負するときを選ぶ。勝負するなら徹底する
まずは、自分の仕事がどのようなプロセスで成り立っているのか、その価値という結果から逆算して、バリューチェーンを把握します。
そしてその仕事のプロセスの中で、どの部分が最も重要で、勝負が避けられないのか。逆に、その部分であれば、勝負を避けていいのか。それを見極めます。それができないと、すべてに全力を尽くすことになり、結果的にどれも中途半端で終わってしまうでしょう。
徹底するところと、勝負を避けるところのメリハリをつけることで、コヒーレントなレーザービームのように、ある1点において、チームが力を発揮するのです。
どれも平均点で、何の特徴もないビジネスパーソンになってしまわないよう、自分が熱中できる得意分野、世界トップレベルになれる分野、そしてそれにより経済的に潤う分野という3つの円が重なる部分へと、パワーを集中していくのです。
p218
未来への<因>を発見するための「U理論」
具体的にまだ起きていない未来とはどんなものなのでしょうか。そこから学ぶには、どうすればいいのでしょうか。
C・オットー・シャーマーは、このプロセスをU理論として提示しました。
このU理論には、大きく分けて3段階のプロセスがあります。
まず、現実を見つめ、深いレベルで認識し、現実の状況と一体化する「センシング」。
そして、内なる知へのつながり、未来を生み出す源(ソース)と一体化し、未来への可能性を見る「プレゼンシング」。
最後に、実際に行動を起こす「リアライジング」に至ります。
プレゼンシングのプロセスによって、未来の最善の可能性としての自己、これまでの言葉で言えば未来への<因>を内包した自己を発見し、そうした自己へと変化していくのです。
p222
豊かな人生を生きるためのリーダーシップへ
自分以外の人間と関わるがゆえに、生まれる未来は複雑であり、予測できない。そのため、「勝利の方程式」のようなものは、野球にも人生にもない。しかし、そこで「采配を振る」ということは、誰しもできます。
豊かに生きるというのは、第三者の介入やさまざまな制約条件がある中で、「自分はこれに勝負するのだ」という主体的な判断を下せることにあるのではないかと思います。
しかもその勝負が、自分らしい自己表現になっていること、かつ自分を取り巻く<場>への与贈となっていることではないかと思います。
自己表現という<場>への与贈によって<場>が豊かになり、その豊かさが自分に<居場所>として戻ってくる。そこに、生きることの豊かさがあるのではないかと思います。
p229
アクションプラン:
提供する価値から逆算する