『ファシリテーターの道具箱』
ファシリテーターの道具箱―組織の問題解決に使えるパワーツール49
- 作者: 森時彦/ファシリテーターの道具研究会
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2008/03/14
- メディア: 単行本
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平成26年5月5日 読了
まとめ:
ファシリテーションとは、人と人との関係や集団による思考を活性化し、新しいプラスアルファを促す術。
議論を建設的・効率的に進めるためにその場にあった「道具」を使う。
ファシリテーションを身につける一番の方法は実践すること。
目次:
はじめに
序章 社内プロセスコンサルタントになろう!
第1章 これだけは身につけたい道具8
第2章 【初級キット】シンプルに考えるための道具13
第3章 【中級キット】愉快にロジカルに進める道具16
第4章 【上級キット】実行力を高める道具12
あとがきに代えて
キーワード:
ファシリテーションって、会議術?
人と人との関係や集団による思考を活性化し、新しいプラスアルファを促す術。建設的な議論を促し、組織を活性化し、実行力を高める。怒鳴り声や罵声や愚痴、不満ではなく、はつらつとした新しいアイデアと笑い声で満たされる組織。そういう場をつくり、プロセスをリードすることをファシリテーションと呼ぶことにしましょう。
「人の手段の知的生産・創造性の向上」
これは、今後の日本が最も必要としているものかもしれません。
p2
ファシリテーションの三角形
(1)プロセスをデザインする
議論をうまくリードするためには、議論の流れ(プロセス)が大切です。
議論をうまくファシリテートするには、そのプロセスを事前によく考え、入念にデザインしておくことが必要です。
プロセスデザインで重要な点
・ゴールを明確にする
・ゴールは「目的」と「成果物」に分けておく
・ゴールを明確にしたらそこへ向かう最適なプロセスを考える
・ムダだと思っても意識的に「発散」過程を十分にとる
p6
(2)場をコントロールする
想像以上に当事者たちの口が重かったり、水面下で感情的な対立が起こることもあります。ファシリテーターたるもの、そうした場面をうまく処理しながら、議論のプロセスをコントロールし、生産的な場を維持する必要があります。
メンバー同士、またメンバーとファシリテーターとの信頼関係に配慮し、それが失われないように注意することが必要です。
場をコントロールするためには、チームで議論する時に起こるいろいろな障害を理解し、それらに対する対処法を用意しておくと役に立ちます。
p7
(3)触発する、かみ合わせる
参加者を触発し、少しずつでも出てきた意見をそのままにせず、激励し、かみ合わせ、発展させることが大切です。示唆に富む質問(時には、ばかばかしいような質問も効果的)をする、フレームワークを利用する、といったことを行う必要があります。
p7
(4)合意形成、行動の変化
議論の結果として全員が共有できる結論が必要です。これを「合意形成」と呼ぶことにしましょう。
「合意形成」も重要ですが、プロジェクト活動などでは、その後の「行動変化」のほうが重要です。参加者の行動が変わるためには、単なる「合意」ではなく、納得し、意識が変わることが不可欠です。「納得感」は、結果を共有するだけでは生まれません。一緒に考えること。プロセスを共有することが重要です。
p10
ファシリテーターに求められる「力」
・楽観的
・前向きー対立のエネルギーを前進の糧に変換する気力
・未来志向ー過去にこだわらない
・外向きー顧客志向
・開かれた心ーオープンマインド
・好奇心
・自分たちを客観視する力
・高い目的意識
・システム思考力
・行動力
p10
チームの発想を促す3つのパターン
p11
4W1H
アクションを確認して、会議を終えるクセをつける!
こんな時に使える!
会議で決まったこと、アクション事項を確認する時に使います。「会議は4W1Hで終わる」「定例会議のはじめには前回の4W1Hの確認から始める」というクセをつけるだけで、チーム運営にリズム感が生まれます。
この道具の使い方
1.5W1HからWhyをのぞいた5つをチェック項目とする表をつくる
2.会議中に4W1Hの表を埋めながら議事を進める
3.4W1Hの中でもWho(誰が?)、What(何を?)、When(いつまでに)が最も重要
4.次回の会議で、今回の4W1Hの進捗確認から議事を始める
p36
トークボール
ボール1つで、話し合いがスムーズに!
こんな時に使える!
発言が少ない時や、誰かが話を独占している時、そこにボールを1つ入れるだけで活性化します!ルールは簡単。ボールを持った人だけが話し、他の人は聴くこと。こんな簡単なことで、会話にはずみが出るって信じられますか?
この道具の使い方
1.参加者は、どの場所からでも全員が見えるように座る
2.ボールを持っている人から話を始める
3.参加者は、ボールを持っている人を見て、集中して話を聴く
4.話が終わると、次の人にボールを渡す
5.受けとった人は、何かを話さないといけない
p44
As is To be
ありたい姿を共有する!
こんな時に使える!
ビジョンづくりで、現状とありたい将来の姿が混乱しがちな時、明確にメンバーのイメージを引き出し、共有するのに役立ちます。
この道具の使い方
1.壁を2つに仕切って、片側に「As is(現状)」、もう一方に「To be(ありたい姿)を書き出せるようにする」
2.20分ぐらい時間を与えて、参加者に「As is」を書き出してもらう
3.「As is」が終われば、同じ程度の時間で「To be」についても書き出してもらう
4.「As is」「To be」として書き出されたものを全員で見比べながら、追加・削除しながら将来のイメージを共有化する
p50
プロコン分析
賛成・反対のワケをぜ〜んぶ書き出してみよう!
こんな時に使える!
賛成か、反対かというシンプルな合意形成でもけっこう決まりません。プロコンは、賛成意見(プロ)と反対意見(コン)を列挙してチームの意思決定を促す簡単でパワフルなツールです。賛成・反対の理由を全員で共有することで、決定事項への納得感と当事者意識を高めます。
この道具の使い方
1.ホワイトボードの中央に縦線を引き、そして左側上方に<賛成>、右側に<反対>と題記する
2.ある案について、採用すべき理由やメリットを全員でブレストし、ホワイトボードの左側に書き出す
3.次に、反対すべき理由やデメリットを全員でブレスト、ホワイトボードの右側に書き出す
4.賛成・反対両方を見ながら、比重が同じと思われる項目をそれぞれの側から消し込んでいく
5.残った項目を見ながら、結論を出す
p52
2軸でアイデアを絞り込もう!
こんな時に使える!
出てきたたくさんのアイデアから、どれを選んで実行するかをできるだけ、合理的に判断したい時に役立つのがこのペイオフマトリックスです。判断基準を2つ選んでアイデアを評価し、2軸で可視化して意思決定を促します。
この道具の使い方
1.提案を評価する重要な軸を2軸選び(一般的には、「効果の大きさ」vs「コスト」)、模造紙にそれらを軸にしたマトリックスをつくる(右上に優先順位の最も高いものがくるように軸を選ぶこと)
3.そのポストイットをマトリックスの中に貼りつけながら、位置づけを議論する
4.一番右上のものから順次目標が達成するところまで選定する
p56
PREP法
ロジカルに聞こう!話そう!
こんな時に使える!
もっとロジカルに話したいと思ったことはありませんか?PREP法は、そのための特効薬です。発言する時にはPREPのポイントを踏まえているか、参加者全員でチェックをして、誰もがロジカルに理解できる会議を実践しましょう。
この道具の使い方
1.ファシリテーターが、発言は「PREP法」で行うように、と宣言する
2.PREP法の説明をする
・P:Point(ポイント、要点)・・・最初に述べる
・R:Reason(理由)・・・次に理由を述べる
・E:Example(事例)・・・次に事例、具体例を述べる
・P:Point(ポイント、まとめ)・・・最後にポイントを繰り返す
3.参加者の発言がわかりにくい時には、「Rは何ですか? Eは何ですか?」と問いかけて、明確にしていく
p102
アクションプラン:
最初にプロセスをしっかりとデザインする