認知行動療法講義メモ「第6回講義」
平成26年10月24日
早稲田大学の熊野宏昭先生の講義のメモです。
「認知行動療法講義」の全12回分をUstreamで聴講することができます。
「第6回講義 新世代の認知行動療法」
Ustream.tv: ユーザー hikumano1: 第6回講義, 法政大学「認知行動療法の基礎と展開」 第6回 新世代の認知行動療法 . その他...
11月1日以降に削除されるようです。
講義資料もウェブサイトにアップされています。
http://hikumano.umin.ac.jp/cbt_kougi.html
講義資料は公開を続けるそうです。
以下、メモです。
第6回
新世代の認知行動療法
2000年ぐらいから
世代 →今までの認知行動療法がベース
認知の内容よりも機能やプロセスが重視されるようになった
認知も行動とみなして本格的に扱うようになった
学習理論が言語行動を枠内で扱うようになってきた
→さらに基礎的なものに入っていった
注意やメタ認知 通常の認知よりもプロセスに注目するようになった
3つの波
DBT 弁証論的行動療法
境界性パーソナリティ障害に対して 治療が進まないことの因子
精神医学のトップジャーナルに論文が掲載された
MBCT マインドフルネスグループ療法
大うつ病に対して 再発性が高い 60%
過去一年にうつ病と診断される人 10%
認知療法で治療すると再発が少なくなる
しかし、効率が悪い
→グループで行うプログラムをつくった
MBSR マインドフルネスストレス軽減法
ジョンカバットジン先生 1970年代
マインドフルネスとヨガの組み合わせ
慢性疼痛に使われる
→マインドフルネス認知療法
世代というよりも重なって広がってきた
機能やプロセスが重視されるようになった
ブッダの教えを忠実に残そうとしたグループ
南伝仏教 ダルマ大師はテーラワーダ仏教の僧侶だと言われている
禅とテーラワーダ仏教はかなり近い
第三世代の認知行動療法
第一水準(連続的・主訴こみ)の変化だけではなく、第二水準(非連続的・分脈こみ)の変化を目標とする
分脈は多層的に理解する必要がある
文脈が変わると行動の形が変わらなくても機能が変わる
連鎖を変えることに働きかける
人生の節目の問題までも扱うことが可能になる
人生の節目 →選択肢が増える 不安定な時期
どれを選ぶかは自分で決めるしかない
節目の時期は心的エネルギーが必要
心のモード マインドフルネス
通常は問題解決的に働いている →することモード
ここにいるだけでいい時間 →あることモード
することモードとあることモードを切り替える
言葉や思考を離れて体験的に学習する
第三世代
認知的変数の位置づけの見直し
そう簡単に考えていることを変えるのは難しい
研究結果 認知の歪みはうつ病再発の原因ではなかった
ちょっとした抑うつ気分が悲観的な思考を引き起こす
うつ病を経験してない人は抑うつ気分になっても悲観的な思考が出ない
→通常の人でもよくある
考え続けてしまう →うつ病を再発しやすい
認知の内容や頻度ではなく、認知的反応性が再発に深く影響する
認知や気分との関係を変える
脱中心化、メタ認知的気づき→巻き込まれない
マインドフルネス
言語行動(認知)は第一世代と同じ原理で説明可能
大きな後退
考えていることも環境との相互作用で決まってくることが多い
言語行動は「複数の刺激を関係づけ、その刺激の機能を変える行動=関係フレームづけ」と定義される
関係フレームづけ いろいろなものと結びついて機能が変わってくる
病的なものになると嫌悪刺激の機能を獲得する →回避行動につながる
例 楽しいものを見ても悲しくなる →何を見ても悲しくなる
ルール支配行動が優位になる →体験学習ができなくなる
アクセプタンス脱フュージョン
→そのままにしておくこと + 考えていることと実際に起こることは違う
マインドフルネス
今の瞬間の現実に常に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚し、それに対する思考や感情に囚われないでいる心の持ち方、存在のありよう。
現実 →身体の外で起こる公的出来事だけでなく、私的出来事(思考、感情、記憶、新体感覚)も含まれる
あるがままの現実
自分の中に外の世界が流れ込んできて自分がいなくなるように感じる体験
蚊に刺されても掻かないで観察する
→三分ぐらいで痒みがおさまる
掻くと皮膚が反応して痒くなってしまう
マインドフルネス
注意、気づきの問題
気づいてそのままにしておく
目標 あるがままの現実を理解する
方法
今の瞬間の現実に注意を向ける
現実との関係を変えない →アクセプタンス
目標
現実の様相を見極める 洞察
リラクセーションとは違う
心ここにあらずの状態
目覚めている状態
覚醒状態が高すぎる訳でもない
リラックスしている訳でも緊張している訳でもない
体験の回避
嫌悪的な状況だけではなく、それに対する自分の反応も回避してしまう行動
体験の回避によって認知が行動や感情に与える影響が強くなる
認知的フュージョン →考えていることを現実と取り違えてしまう
言語行動 結びついた対象が浮かんできてしまう
言語行動にあって体験行動にないもの
双方向性 →象徴性 言語行動が持っている性質
生成性 どんどん関係性が広がっていく
アクセプタンス
ウィリングネスとも言われる
マインドフルネス
不安がなくならないと前に進まない →不安があっても前に進める あなたにとって大事なことをはじめましょう
新世代の認知行動療法
第一世代、第二世代をカバーできないところをカバーする