アウトプット日記

読んだ本、文献、作業療法に関する勉強会・研修会のまとめ。個人的な。

認知行動療法講義メモ「第7回講義」

平成26年10月25日

 

早稲田大学の熊野宏昭先生の講義のメモです。

認知行動療法講義」の全12回分をUstreamで聴講することができます。

「第7回講義 マインドフルネス認知療法


Ustream.tv: ユーザー hikumano1: 第7回講義, 法政大学「認知行動療法の基礎と展開」 第7回 マインドフルネス認知療法 . その他...

11月1日以降に削除されるようです。

 

講義資料もウェブサイトにアップされています。

http://hikumano.umin.ac.jp/cbt_kougi.html

講義資料は公開を続けるそうです。

 以下、メモです。

 

第7回

マインドフルネス認知療法

マインドフルネス

今の瞬間の現実に常に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚し、それに対する思考や感情には囚われないでいる心の持ち方、存在の有様

現実や自分の実像が捉えられるようになることを目指す

 

呼吸による気づきの教え

お経 マニュアル的

呼吸を4つの領域で見つめる

身体 感受 心 法則性

 

身体 アクセプタンス

規則正しい呼吸と、そのままの呼吸

呼吸をコントロールしないでそのままを観察しましょう

リラクセーションの呼吸とは違う

身体がしたいように呼吸する

規則正しくしないでいい

息が入ってくるときは胸が膨らむこと、息が出ていく時は胸が縮むことに注意を向ける

規則正しい呼吸 →慣れてる人は楽

マインドフルネスの呼吸 →こちらのほうが楽な人が多い コントロールしていない 変化が感じられる

そのままにしておく →余計なエネルギーを使わないから楽

身体表現性障害に対して有効

 

感受 外界の感受への気づき

何かを見たときに好き嫌いの感覚を感じる

ブッダ

「見るものは見ただけで、聞くものは聞いただけで、感じたものは感じただけで、考えたことは考えただけでとどまりなさい。そのときあなたは、外にはいない。中にはいない。外にも、内にもいないあなたはどちらにもいない。それは一切の苦しみの終わりである」

仏教では思考は感覚器の一つ

六根 →自動思考

感受で止める →ラベリング

感受に戻る →現実に一番近いところに戻る

 

思考の素性

思考は「無知」に由来する

→思考は一面的 一面的には理解できないもの

思考(反芻思考)がなくても五感+自動思考(六根)は働く

速読 光の読書 →写真を撮るように本を読む

説明できるように内容をまとめるのも速読する技術の一つ

音の読書をしていると速くならない

「ワナワナ」リーディング

分かった、なるほどと言いながら文字を眺める

言葉が思考の拮抗反応になる

思考がなくなったときに分かるようになる

→サティパンニャ 事実と出会った瞬間に、その本質を見極める力

 

心 貪瞋痴への気づき

感受に基いて思考が展開する結果生まれてくるもの →欲、怒り、混乱

無理に感情を抑えないでラベリングして観察する

気づいて放っておく 心に任せておく

身体の感覚で止まっていれば心を対象にする必要はない

 

「自分」の正体

マインドフルネスでは自分はないものと考える 単なる構成概念

「記憶」がその妥当性を支えると考えられている →記憶も曖昧

記憶が変わるから時間の流れを感じるこたができる

→トラウマは記憶が変わらない いつも体験したときの現実に戻ってしまう 時間が止まっている

構成概念はメリット、デメリットがある

とりあえず自分がどんなものであるか決めておく

自分を限定すると制限されるデメリットもある

瞬間瞬間の自分を見失わないようにする

 

法則性 無常、苦、無我

心の気づきは途切れる

無知の対極 →無常、苦、無我

無常 →常に変化している一過性のもの

苦 →常に変化しているので十分に満足できない

無我 →コントロールすることはできない 自分というものがあれば自分をコントロールできるはず →コントロールできないので自分というものは存在しない

 

マインドフルネスの効果

気づきを向けるだけで身体の働き、感情が変化する

どんなことであれ余計なことを考えることによってこじらせてしまう

→そこで止めれば常に変化しているから消えていく

変化しているから成長できる

無常はポジティブな働きを多く含む

 

マインドフルネスの実践

注意の持続 →注意の転換 繰り返す

→サマタ瞑想

注意の持続、転換ができるようになったら注意の分割

注意の範囲をパノラマ的に広げる

ヴィパッサナー瞑想

 

注意の分割

思考のキャパシティをあらかじめ使っておけば思考が出てこなくなる

 

マインドフルネス認知療法

MBCT

ほとんど仏教の修行法

「治療」という枠組み放棄した

思考や感情を変えようとはせず、それに気づいたままにしておく

 

再発性うつ病

反芻的で自己持続的な反応パターンが再発に寄与

ネガティブな思考と感情に対して「距離をとる」あるいは「脱中心化(メタ認知的気づき)」できることが大きく関与

 

個々のターゲット行動に応じた援助ではなく、役に立たない心のモードを離れ、それとは両立しない別のモードに入る方法を学んでもらうことが目標

→従来の認知療法とは違う点

 

マインドフルネスはどこに効いているのか

マインドフルネス →メタ認知的気づきが強まってくる

何かを思い出したときにどれくらい客観的に思い出せるかで判断できる

客観的に正確に思い出せていればメタ認知的気づきが強い

マインドフルネスを体験した人としてない人では、体験した人のほうがメタ認知的気づきが強い

メタ認知的気づき →自分と考えていることの距離が取れている

メタ認知的気づきの低下 →うつ病になるリスクファクター

 

認知療法が効果を上げるのも認知の内容を変えているのではなく、関係性を変えていることが影響しているのではないか

 

記憶 →記銘、保持、再生

メタ認知的気づきに影響を与えるのは記銘のプロセスである

覚えているときにマインドフルな心の働きで覚えればその後が変わる

記憶 →思い出すと記憶が変わりやすくなる 思い出したときにどう対応するかで安定したり不安定になったりする

思い出した分だけ不安定化しやすい