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アウトプット日記

読んだ本、文献、作業療法に関する勉強会・研修会のまとめ。個人的な。

抑うつを持続させる反すうに対して作業療法士ができること

 当院の運動器リハにはPT18名、OT4名が所属している。対象疾患は主にTKA、HTO、ARCRの術後患者である。その他、大腿骨骨折、圧迫骨折や脊柱管狭窄症などの腰部疾患、頸椎症脊髄症、ACL・PCL再建術、橈骨遠位端骨折などを対象としている。

 運動器OTでは、昨年度はクライエントの個別性に対応できる作業療法を提供することを目標に、COPMを用いた面接を行い、疾患別のニードを抽出した。同じ疾患でも生活環境や個人特性は様々であり、ニードに合わせた作業療法の提供の必要性を再確認した。

 

 今年度の目標はクライエントの不安に対応できる作業療法を提供すること。生活を行う上での不安や自信といった心理面に介入することで、さらに個別性に応じた作業療法を提供できることを目指している。

 COPMに加えて不安や抑うつ、自己効力感の評価を行い、心理要因がCOPMの遂行度と満足度に与える影響を検討した。今年度上半期、OTが介入した120名のデータからは不安や抑うつ傾向が高い患者は低い患者と比べて有意にCOPMの遂行度と満足度が低い結果となった。また、重回帰分析の結果、心理要因の中では自己効力感がCOPMの遂行度と満足度に影響を与える可能性が示唆された。

 抑うつ状態を持続させる要因として思考を繰り返す反すうがある。反すうすることで気分が落ち込み、行動を回避することでさらに悪循環に陥る。反すうには「問題への直面化」と「ネガティブな内省」の二種類があるとされ、問題解決のための原因分析や手段の模索を行う「問題への直面化」は抑うつ状態を持続させる要因にはならない。しかし、失敗や悪い面ばかりに目が向いてしまう「ネガティブな内省」は抑うつ状態を持続させる要因となる。

 抑うつ状態の持続を予防するためには反すうに対して介入することが必要である。「問題への直面化」と「ネガティブな内省」のどちらの反すうを行っているのかを面接を通して見極め、「ネガティブな内省」から「問題への直面化」への移行を促すことで抑うつ状態の持続を予防することができるのではないかと考えられる。同じ思考を繰り返すだけではなく、実際に行動することが必要である。実際に行動する前にイメージすること、モデルを示すこと、課題の難易度を調整すること、失敗より成功に目を向けることなどが作業療法士として関われる心理的サポートであると考える。

 

参考文献

1 )松本麻友子:反すうに関する心理学研究の展望ー反すうの軽減に関連する要因の検討,名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要 心理発達科学 55, 145-158, 2008

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