アウトプット日記

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『「身近な人」との人間関係がラクになる心理学』

 

「身近な人」との人間関係がラクになる心理学

「身近な人」との人間関係がラクになる心理学

 

 平成27年1月1日 読了

 

まとめ:

「人と一緒にいれば親しくなれると考えるのは間違いだ」

 部屋のドアの前にただ突っ立っていても、そのドアが開かれることはありません。ドアはノックしないと、内側から開けてもらうことはできないのです。隣に誰かが座っていても、毎日顔を合わせる人がいても、自分からの働きかけがなければ、相手の心と「つながる」ことは難しいでしょう。

 では、どうすれば、周囲の人と気持ちよくつながることができるのか。それを知り、身につけていくのが「人づきあい」と上手にすることだと私は思います。心理学では、そのためのキーワードがいくつも明らかにされています。(はじめにから引用)

 

キーワード:

「代償行動」で満足を得る私たちの日常 p21

 思い通りの対人関係が作れずにもがいてしまう人は、対人関係を「代償価」という考え方でとらえてみるのも手だと思います。

 人は、自分の欲求を実現できない時、その代償として別の行為を行うことがしばしああります。心理学ではこれを「代償行動」といいます。

 この代償行動で、どの程度の満足があったかを数値化したのが、「代償価」です。たとえば、2週間のオーストラリア旅行が100%の満足度なら、1週間の国内離島めぐりは何%になるか、というのが代償価の考え方です。

 

 

「これしかない」ではなく「これだけある」と考えてみる p22

 この代償価というとらえ方で、対人関係を考えてみましょう。

 たとえば今度参加するイベントで、20人の初対面の人と知り合い、うち3人と個人的に仲良くなりたい、と考えたとします。けれど、実際にイベント会場に出向いたら、なかなかそうはいかないかもしれません。自分から話しかけることができなかったり、通りいっぺんの会話に終始して、思い通りに相手との心的距離を縮められないこともあるでしょう。

 その場合「やっぱり自分はダメだ。人づきあいはできない」と投げ出したり、あきらめてしまうのではなく、代償価を下げ、少しの成果でもあったことを認めるようにします。

 目標の100%を達成しなくても、手に入れられたものを貴重な収穫だと認めていくのです。

 すぐに親密な友人としてふるまいたい、思い描くような恋愛関係になりたい、100じゃなければ0、という極端な考え方は、自分を追いつめるばかりで手の中にある大切なものを見失ってしまいます。

 対人関係の場合は、手に入らなかった絆より、手にしているものの価値をしっかりと再認識することが、とても重要なのです。たとえ頭の中の理想と違う形であっても、それはこの先たくさんの可能性を秘めた、大切な関係だからです。

 

4つのステップで、相手を正確にキャッチする p66

 良い関係を作るにはまず、相手がどんな人物かをなるべく正確にとらえる必要があります。そのためにとても有効なのが、ワラスの「4つのステップ」と呼ばれる方法です。

 アメリカの心理学者ワラスは、ひとつの発見や発明にいたるまでの思考のメカニズムに「4つのステップがある」と分析しました。

 まず、そのテーマにそった情報を収集する「準備期」、次にそれを検証して寝かせる「孵化期」、そして、そうだ!とアイデアがひらめく「啓示期」、そのアイデアを検証する「検証期」の4ステップです。

 

正しく相手を知ることは、思いやりにつながる p67

 このステップは、対人関係を良好に築く法則としても活用することができます。

 まずは準備期。相手の正確な情報をできるだけ集めます。

 そして、これらをしばらく寝かせる孵化期。相手はどんな人か、立ち止まって考える時間です。

 これらを経ると、相手がどんな人なのか、おおよその輪郭が見えてくるでしょう。情報を複合的に検証してみることで見えてくる相手の姿があるはずです。これが啓示期です。

 あとは、その人の立場に立ってアプローチの仕方を考え、実際にコミュニケーションをとる検証期を迎えます。

 この検証期にうまく接していくためにも、前段階の3つのプロセスは丁寧に行わなくてはなりません。親しくなりたい人には自分のことをよく知ってほしいとばかり思いがちですが、相手をもっと知りたいと思い、理解する努力をすることが、よい関係につながります。そして、それこそが、「相手の立場に立って思いやる」という行為なのです。

 

「私を理解して」ではなく「あなたを理解したい」 p80

 周囲の人と仲良くしたい、みんなと楽しい関係でいたいと思っている人には、

「相手に理解してもらいたくて、自分のことを一生懸命に話したのに、少しもわかってもらえない」

 という人が少なくありません。

 けれどそれは当然のことなのです。

「自分のことを知ってほしい」「もっとよく理解してほしい」という気持ちは、自分の都合を優先させた願望です。相手はその願望を「話したいようだから、聞いてあげましょう」と、好意で受け止めてくれているのだと考えるくらいが、ちょうどいいのです。

 本当に相手と良好な関係を築いていきたいなら、自分のことを理解してもらおうとするよりも、「相手のことを理解したい」と考える姿勢が大切です。すると会話もおのずと、自分の話をまくしたてるのではなく、相手の話を聞こうとするものになります。会話がなかなか進まなければ、言葉以外の表情やしぐさから、相手の気持ちを探ろうとしたり、相手が心地よくいられるような配慮をするようになります。

 こうしたことを積み重ねていくうちに、相手の好意を少しずつつかみとっていくことができるようになるのです。

 

目次:

1章 誰からも好かれようとするから心が苦しくなる
2章 相手によって“正解の心の距離”は違う
3章 「好かれる」より「嫌われない」方法を身につける
4章 自分の言動を変えると、相手も驚くほど変わる
5章 相手の本音が見えてしまえばストレスは半減
6章 人づきあいがラクになる日常生活10のヒント

 

アクションプラン:

「相手のことを理解したい」と考える姿勢を大切にする