アウトプット日記

読んだ本、文献、作業療法に関する勉強会・研修会のまとめ。個人的な。

『マキコミの技術』

 

マキコミの技術

マキコミの技術

 

 平成27年1月24日 読了

 

まとめ:

 ソーシャルメディアを継続して利用することで、人を巻き込み、人から巻き込まれる環境が生まれる。

 コツコツと継続して長く続けること、「ギブ&ギブ」の精神で人のために行動すること、小さな変化のきざしに気づいて反応することが大切。

 

キーワード:

消費行動に影響する「ソーシャルフィルタリング」 p37

 マーケティング用語に、消費行動プロセスの「AISAS」というものがあります。特定の商品に対して消費者は、気付く(注意喚起)→興味を持つ→検索する→購入する→(情報を)共有する、という順番で行動する(だから、これに合わせて広告を出したり、ネットで情報を提供したりしよう)、というものです。類似の言葉はいくつかあるのですが、ソーシャルメディアに注目が集まる中、2012年の消費行動プロセス予想として「AISA」という言葉も登場しています。

 これは、気付く→興味を持つまでは同様で、検索する代わりに「ソーシャルフィルタリング」、つまりソーシャルメディアで聞く、という行為を通して、購入するかどうかを判断するというものです。

 

必ず成功するハウツーはないが、着実に成功に近づくためのコツはある p50

 ソーシャルメディアの利用を続けていく中で、いくつかの企業のように「結果的に」なんらかの成果を得られることがあります。一方で、まだ成果を得られていない企業や個人は、二つに分類できると思います。成果につながる土台を順調に積み重ねている企業(個人)と、そうではない、足元になにも積み重なっていない企業(個人)です。

 前者であれば、徐々に成果が現れて、いつかはブレイクスルーが起きるはずです。しかし後者だとすると、なかなか成果は望めません。

 

一 コツコツ「継続」によって土台を作る

 「続けていたら結果的に」という言葉で表されるように、ソーシャルメディアでの活動は長く継続することが重要です。この行為をショートカットすることはできません。

二 コミュニケーションは「ギブ&ギブ」の精神で

 「うまくやろう」、「なにかをゲットしてやろう」といった気持ちがあると、なぜか失敗します。気持ちとしては「ギブ」、つまり純粋に相手になにかを与えたい、役に立ちたいと考えることが大切です。

 一般には「ギブ&テイク」という言葉がありますが、それよりも「ギブ&ギブ」、つまり与え続けることを心がけて、情報を発信し続けたり、疑問に答えたりしていくことが重要なのです。そのように継続していくことで強い信頼感が生まれ、「結果的に」いいことが起きたり、なにか問題が起こった際にも誰かが現れて助けてくれる、というような環境ができあがっているものです。

三 敏感に「変化のきざし」を見つけ、対応する

 ブレイクスルーのきっかけは、メールが届くとか電話がかかってくるといった、わかりやすい形ではないのかもしれません。どこかのブログで紹介される、ツイッターで話題になる、といった小さな「変化のきざし」を逃さず見つけましょう。そして、そこでの文脈やユーザーの感じていることを察知し、要求に対応する、情報を提供するなどのリアクションをとりましょう。

 そこに気付かなかったり、気付いていてもなにも対応しなかったのでは、せっかくのチャンスを逃してしまうことになります。

 

広いネットの中では「ペイ・フォワード」で p148

 「ギブ&ギブ」の精神は、言い替えれば「情けは人のためならず」ということでしょうか。行為でも、情報でも、誰かになにかを与えるということは、その相手のためになるだけではなくて、めぐりめぐって自分にも返ってくるものです。

 だから、与えるときに見返りをセットで考える必要はありません。特に広いネットの中では、想像もつかないところから、ある日見返りに相当するものがやってくることがあります。

 

「継続」、「つながり」の先にあるもの p168

 ブログなどを継続することによってソーシャルメディアで自分の存在を確かなものにし、周りの人とのつながりを作り、育てていったら、周りを巻き込んだり、巻き込まれたりー「マキコミ」の起こる環境ができあがります。

 

 最初の動きは、ごく小さな変化でしかないかもしれません。それを見逃さず、そして適切なリアクションを取るためには、継続、経験によってノウハウを蓄積していくことが欠かせません。このノウハウこそが「マキコミの技術」のキモとなる部分です。

 

マーケティングプランは「すり鉢」の設計 p206

 ユーザーを企画に巻き込んだり、ユーザーの声を聞いて行動を起こしたりと、企業のマーケティングプランとしての「マキコミ」を考えるとき、最初に行うべきことは、いわば「すり鉢」の設計です。

 まず、ユーザーに認知してもらい、興味を持ってもらい、動いてもらうためのタッチポイントを可能な限り広く取ります。そして、そのどこかの端っこにでも引っかかったユーザーを、最終的にゴールである自社サイトにまで連れていく流れを考えます。周囲のどこからでも中央(ゴール)に落ちるような、まさにすり鉢状のコミュニケーションモデルを設計するわけです。

 

目次:

 第1章 時代は「クチコミ」から「マキコミ」へ
 リヤカー書店「ネタフル堂」開店
 ツイッターで近づいたリアルとネット
 ソーシャルメディアの「深い」影響力
 影響し合い、ユーザーに巻き込まれる企業
 「マーケティング」「ブランディング」の枠を超えて
 Work 1:自分のリヤカーブックスを開くとしたら?

第2章 コツコツ「継続」がソーシャルメディア上の土台
 ネットで存在を認識されるために必要な「継続」
 コグレマサトの「継続」の歴史
 いしたにまさきの「継続」の歴史
 効果的な「継続」のためのノウハウ
 ブログブーム初期からコツコツと続く日産自動車の取り組み
 Work 2:「継続」できなかったブログの改善案を考える

第3章 つながりを育てる「ギブ&ギブ」の精神
 「つながり」こそがネットの醍醐味
 味わったらやめられない! リアルでつながる「オフ会」の楽しさ
 コラム:転んでもただでは起きなかった「ONEDARI BOYS」
 コグレ流、オフ会ができるまで
 コラム:ユーザー集団は「コミュニティ」から「クラスター」へ
 ネットでは「ギブ&テイク」よりも「ギブ&ギブ」
 ブロガーとのつながりを育ててきたサントリーソーシャルメディア施策
 Work 3:「つながり」を作るオフ会を企画する

第4章 「マキコミ」から生まれる新しい価値
 巻き込み、巻き込まれて、従来にない価値が生まれる
 時間をかけてユーザーと付き合う「豚組」のスタイル
 幅広くパートナーと手を組むエバーノートの人気の仕組み
 コラム:「クチコミの技術」でのクチコミ施策
 仕掛けでユーザーを楽しませるAXEボディソープの「新宿駅前風呂」
 コラム:UCCの失敗と迅速なリカバー
 コミュニケーション手段の変化と「ポストペット」の進化
 企業とユーザーのよりよい「マキコミ」のために
 Work 4:あなたは誰と「マキコミ」したい?

 

アクションプラン:

「ギブ&ギブ」を心がける