『マキコミの技術』
- 作者: コグレマサト,いしたにまさき
- 出版社/メーカー: インプレスジャパン
- 発売日: 2010/12/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 5人 クリック: 41回
- この商品を含むブログ (30件) を見る
平成27年1月24日 読了
まとめ:
ソーシャルメディアを継続して利用することで、人を巻き込み、人から巻き込まれる環境が生まれる。
コツコツと継続して長く続けること、「ギブ&ギブ」の精神で人のために行動すること、小さな変化のきざしに気づいて反応することが大切。
キーワード:
消費行動に影響する「ソーシャルフィルタリング」 p37
マーケティング用語に、消費行動プロセスの「AISAS」というものがあります。特定の商品に対して消費者は、気付く(注意喚起)→興味を持つ→検索する→購入する→(情報を)共有する、という順番で行動する(だから、これに合わせて広告を出したり、ネットで情報を提供したりしよう)、というものです。類似の言葉はいくつかあるのですが、ソーシャルメディアに注目が集まる中、2012年の消費行動プロセス予想として「AISA」という言葉も登場しています。
これは、気付く→興味を持つまでは同様で、検索する代わりに「ソーシャルフィルタリング」、つまりソーシャルメディアで聞く、という行為を通して、購入するかどうかを判断するというものです。
必ず成功するハウツーはないが、着実に成功に近づくためのコツはある p50
ソーシャルメディアの利用を続けていく中で、いくつかの企業のように「結果的に」なんらかの成果を得られることがあります。一方で、まだ成果を得られていない企業や個人は、二つに分類できると思います。成果につながる土台を順調に積み重ねている企業(個人)と、そうではない、足元になにも積み重なっていない企業(個人)です。
前者であれば、徐々に成果が現れて、いつかはブレイクスルーが起きるはずです。しかし後者だとすると、なかなか成果は望めません。
一 コツコツ「継続」によって土台を作る
「続けていたら結果的に」という言葉で表されるように、ソーシャルメディアでの活動は長く継続することが重要です。この行為をショートカットすることはできません。
二 コミュニケーションは「ギブ&ギブ」の精神で
「うまくやろう」、「なにかをゲットしてやろう」といった気持ちがあると、なぜか失敗します。気持ちとしては「ギブ」、つまり純粋に相手になにかを与えたい、役に立ちたいと考えることが大切です。
一般には「ギブ&テイク」という言葉がありますが、それよりも「ギブ&ギブ」、つまり与え続けることを心がけて、情報を発信し続けたり、疑問に答えたりしていくことが重要なのです。そのように継続していくことで強い信頼感が生まれ、「結果的に」いいことが起きたり、なにか問題が起こった際にも誰かが現れて助けてくれる、というような環境ができあがっているものです。
三 敏感に「変化のきざし」を見つけ、対応する
ブレイクスルーのきっかけは、メールが届くとか電話がかかってくるといった、わかりやすい形ではないのかもしれません。どこかのブログで紹介される、ツイッターで話題になる、といった小さな「変化のきざし」を逃さず見つけましょう。そして、そこでの文脈やユーザーの感じていることを察知し、要求に対応する、情報を提供するなどのリアクションをとりましょう。
そこに気付かなかったり、気付いていてもなにも対応しなかったのでは、せっかくのチャンスを逃してしまうことになります。
広いネットの中では「ペイ・フォワード」で p148
「ギブ&ギブ」の精神は、言い替えれば「情けは人のためならず」ということでしょうか。行為でも、情報でも、誰かになにかを与えるということは、その相手のためになるだけではなくて、めぐりめぐって自分にも返ってくるものです。
だから、与えるときに見返りをセットで考える必要はありません。特に広いネットの中では、想像もつかないところから、ある日見返りに相当するものがやってくることがあります。
「継続」、「つながり」の先にあるもの p168
ブログなどを継続することによってソーシャルメディアで自分の存在を確かなものにし、周りの人とのつながりを作り、育てていったら、周りを巻き込んだり、巻き込まれたりー「マキコミ」の起こる環境ができあがります。
最初の動きは、ごく小さな変化でしかないかもしれません。それを見逃さず、そして適切なリアクションを取るためには、継続、経験によってノウハウを蓄積していくことが欠かせません。このノウハウこそが「マキコミの技術」のキモとなる部分です。
マーケティングプランは「すり鉢」の設計 p206
ユーザーを企画に巻き込んだり、ユーザーの声を聞いて行動を起こしたりと、企業のマーケティングプランとしての「マキコミ」を考えるとき、最初に行うべきことは、いわば「すり鉢」の設計です。
まず、ユーザーに認知してもらい、興味を持ってもらい、動いてもらうためのタッチポイントを可能な限り広く取ります。そして、そのどこかの端っこにでも引っかかったユーザーを、最終的にゴールである自社サイトにまで連れていく流れを考えます。周囲のどこからでも中央(ゴール)に落ちるような、まさにすり鉢状のコミュニケーションモデルを設計するわけです。
目次:
第1章 時代は「クチコミ」から「マキコミ」へ
リヤカー書店「ネタフル堂」開店
ツイッターで近づいたリアルとネット
ソーシャルメディアの「深い」影響力
影響し合い、ユーザーに巻き込まれる企業
「マーケティング」「ブランディング」の枠を超えて
Work 1:自分のリヤカーブックスを開くとしたら?
第2章 コツコツ「継続」がソーシャルメディア上の土台
ネットで存在を認識されるために必要な「継続」
コグレマサトの「継続」の歴史
いしたにまさきの「継続」の歴史
効果的な「継続」のためのノウハウ
ブログブーム初期からコツコツと続く日産自動車の取り組み
Work 2:「継続」できなかったブログの改善案を考える
第3章 つながりを育てる「ギブ&ギブ」の精神
「つながり」こそがネットの醍醐味
味わったらやめられない! リアルでつながる「オフ会」の楽しさ
コラム:転んでもただでは起きなかった「ONEDARI BOYS」
コグレ流、オフ会ができるまで
コラム:ユーザー集団は「コミュニティ」から「クラスター」へ
ネットでは「ギブ&テイク」よりも「ギブ&ギブ」
ブロガーとのつながりを育ててきたサントリーのソーシャルメディア施策
Work 3:「つながり」を作るオフ会を企画する
第4章 「マキコミ」から生まれる新しい価値
巻き込み、巻き込まれて、従来にない価値が生まれる
時間をかけてユーザーと付き合う「豚組」のスタイル
幅広くパートナーと手を組むエバーノートの人気の仕組み
コラム:「クチコミの技術」でのクチコミ施策
仕掛けでユーザーを楽しませるAXEボディソープの「新宿駅前風呂」
コラム:UCCの失敗と迅速なリカバー
コミュニケーション手段の変化と「ポストペット」の進化
企業とユーザーのよりよい「マキコミ」のために
Work 4:あなたは誰と「マキコミ」したい?
アクションプラン:
「ギブ&ギブ」を心がける