「認知症の診断と薬物治療について」
認知症web研修会
日時:平成25年2月5日 19時~20時
テーマ:「認知症の診療と薬物治療について」
講師:NPO法人豊栄加齢研究所 認知症・パーキンソン病疾患研究センター
池友会福岡和白病院 神経内科 馬場康彦先生
まとめ:
アルツハイマー型認知症の症状は、介護者の関わり方によって影響される
適切な介護をすることで易怒性や興奮が落ち着き、薬物の効果も発揮される
レミニールのAPL作用はニコチン性神経伝達物質の放出を促し、興奮や不安、易刺激性などの周辺症状の減少に有効である可能性
アリセプト(ドネペジル)、レミニール(ガランタミン)、イクセロンパッチ(リバスチグミン)、メマリー(メマンチン)の4剤の使い分け・処方方針を確立する必要がある
医師も介護や対応の工夫の助言を行い、薬剤選択にあたっては本人の視点にたつことが重要
キーワード:
認知症高齢者数の推計
2011年の疫学調査では300万人と推測(非高齢者、軽症例を合わせると400万人以上)
原因疾患
アルツハイマー型認知症 20%
脳血管障害を伴うアルツハイマー型認知症 40%
動脈硬化はアルツハイマー型認知症のリスクファクターでもある
認知症の方の生活保障 4本柱
1.薬物療法
2.非薬物療法
4.介護・ケア
すべては”自分らしさ”を取り戻すため、より長く維持するため
適切な介護の在り方
適切な介護は薬物の効果を十分に発揮するために必要
アルツハイマー型認知症ー「取り繕い行動」
「病感」はあるが、「病識」はない →なんとなくおかしいが、病気だと思わない
認知症の性(さが、しょう)を理解
知性が損なわれ、感性が優位を占める →知性(言葉)ではなく、感性に語りかける
決して言葉で説得、励まし、批判をしない
レミニール(ガランタミン)の特徴
アリセプトよりも長期的な認知機能維持効果
APL作用ー複数の神経伝達物質放出促進によって、意欲の向上、記憶の改善、情緒障害の軽減などの効果が期待される
アリセプト(ドネペジル)からレミニール(ガランタミン)への切り替え調査では、認知機能の改善に加えて、意欲の改善、睡眠の改善などがみられた
切り替え後、非定型精神病薬や睡眠導入薬の併用率も低下
アリセプトと比べて、アセチルコリン放出量の低い夜間の血中濃度が低い
アリセプト(ドネペジル)とメマリー(メマンチン)併用の臨床効果は認められていない
当事者の視点にたった診療が必要
”パーソン・センタード・ケア”、”パーソンフッド”の観点で臨む
アクションプラン:
作業療法士の役割の再確認
外部環境が周辺症状に与える影響の家族への理解の促しと適切な介護指導
本人、家族、医師をつなぐ