『ブックビジネス2.0―ウェブ時代の新しい本の生態系』
- 作者: 岡本真,仲俣暁生,津田大介,橋本大也,長尾真,野口祐子,渡辺智暁,金正勲
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2010/07/16
- メディア: 単行本
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平成25年4月6日 読了 55分
まとめ:
紙の本も電子書籍も、結局は人間の希少な関心や時間の獲得を巡る競争を行っている。
紙からスクリーンに移っただけの競争であれば、紙の優位性は当面揺るがない。
しかし、スクリーンがインターネットに繋がることで無限なるイノベーションを持続的に映し出す鏡になっていく可能性を電子書籍は持つ。
これこそが電子書籍の革命的な要素で、これを理解し、対応するのが「ブックビジネス2.0」時代を先導する主体になっていく。
p230
目次:
page001 はじめに
page013 電子書籍で著者と出版社の関係はどう変わるか 津田大介
page049 印税九〇%が可能なエコシステムを 橋本大也
page079 未来の図書館のためのグランドデザイン 岡本真
page103 ディジタル時代の本・読者・図書館 長尾真
page141 多様化するコンテンツと著作権・ライセンス 野口祐子
page179 ウィキペディアから「出版」を考える 渡辺智暁
page215 「コンテンツ2.0」時代の政策と制度設計 金正勲
キーワード:
本を作るプロセスや、そこに至る人間性みたいなものまでを、ライブのかたちでネットなどで見せることができる。そのプロセスさえも、読者とシェアされていく、そういう著者のあり方が、「著者2.0」なのかもしれません。 p36
私は面白い本というのは流動的で多様だと考えています。自分にとって面白い本とは何かを考えてみると、
・読み手の読書の動機づけが充分で、
・未知の内容が書かれており、
・難易度や趣味が今の自分に適合する。
ということだと結論しました。 p63
図書館の中に掲げられるマナー啓発のポスターが、「図書館ではお静かに」から「図書館では賑やかに」へと変わったとき、「アプリケーションとしての図書館」は
人々の最初の窓口=インターフェイスとなり、問題の解決が図られるとともに、そこに関わった誰もが新たな情報・知識を生み出す多産的な「場」となるはずです。 p98
CCライセンスによって、法律が強制するデフォルトのルールとは異なる、より自由な利用のルールを世の中に作り出すことができます。そのルールをもとにして、いろんなコンテンツ利用や流通のあり方、多様なインセンティブに応じた多様な創作と利用のモデルを、合法に安全に実験できる。そのことにこそ、CCの最大の価値があると思うのです。 p176
アクションプラン:
CC(クリエイティブ・コモンズ)を活用してみる
書籍の電子化によって、医学の分野でも情報の収集・蓄積・検索が容易になってきた。
分厚い医学書や辞書はデータで何冊も保存できるし、読みたい論文はインターネットでダウンロードして読むことができる。
このような新しい技術を身につけ、利用できることは作業療法士として必要な面もある。
しかし、いくら書籍や論文からの知識や情報を得ても、実際に臨床で生かせなければ意味がない。
多様な情報を取捨選択、編集し自分だけの知識に変換する。
インプットした情報をアウトプットし、実践しながら学んでいく。
このような知識と臨床を結びつける力が作業療法士に求められている。
「作業療法士 2.0」はもうはじまっている。