アウトプット日記

読んだ本、文献、作業療法に関する勉強会・研修会のまとめ。個人的な。

WFOTが終わって

 WFOTが終わりました。

 世界70カ国から約6,000人が参加したようです。長かったけど、今までの学会で一番楽しくて、刺激的な学会でした。

 

 今回は主に整形外科領域、自動車運転、認知行動療法についてのセッションやワークショップ、演題発表に参加しました。

 

 

 当院のように整形外科領域でもCOPMを面接で使用している病院がいくつかありました。COPMを評価として使用している発表もいくつかあり、データの用い方、表やグラフでの示し方などとても参考になりました。

 

 自動車運転評価については、ワークショップの中で日本では実車評価がゴールデンスタンダードであると言われていましたが、まだまだ現状は少ない印象です。ただし、全国的にみれば実車評価を行っている施設が増えてきています。海外では実車評価が当たり前に行われていて、運転評価専門のOTがいます。自動車数が多く、人口密度の高い日本でも実車評価は必要だと思います。しかし、都市部と地方では交通環境も異なるので地域に応じた評価やフォロー体制が必要でしょう。自動車運転評価については、高次脳機能障害だけではなく、認知症の問題もあります。海外では地域の高齢者を対象に大規模な運転行動の評価を行っていました。実車評価といっても自分の車を運転する訳でも慣れた地域を運転する訳でもないので本当の実車評価ではありません。オーストラリアの研究グループでは車載カメラを何台か載せて、後方から車でついていってビデオで撮影し、車線変更や交差点を曲がるタイミング、ウインカーやブレーキのタイミングなどを細かく分析し、運転行動の特性を分析していました。規模が違います。あるオーストラリアのOTが言っていました。「運転を止めるということは今後ずっと車を運転しないということ。そこには喪失感を伴う」。身体の衰えた高齢者にとって車は移動手段として必要不可欠です。ただ単に評価結果が悪かったから運転してはいけないと一方的に言われたら納得できないのは当然です。オーストラリアでは運転を止めることを段階的に受け入れられるような取り組みがなされていました。車に乗った時間、乗らなかった時間、車に変わる手段を使用した時間、どんな手段を利用したか、例えば他の交通機関を利用したり用事を人に頼んだりするなどを高齢者に記録してもらいながら、少しずつ適応していくのです。評価して車を運転できるかどうかだけを判断するのではなく、車を運転する目的は何か、運転できないとしたらどんな代償手段があるかまで考慮し、今後運転できないことに対する心的サポートまでできるのが作業療法士ではないかと思います。

 

 認知行動療法についての演題発表は5演題ありました。精神科領域での認知行動療法の利用はごく当たり前のようです。今後、身体障害領域、特に高次脳機能障害認知行動療法の応用が確立されてくるかどうかです。クライエントの気づき(awareness)を促す認知行動療法は病識の低下した高次脳機能障害のクライエントには適応が難しいかもしれません。しかし、高次脳機能評価や観察評価の結果だけをみて症状を理解したり、治療方法を選択したりするだけでは一方的な介入にすぎません。今、自分の身に起きていることは何なのか、自分で自分の状態に気づくところから高次脳機能障害の治療は始まると思います。気づきのレベルに応じた介入の工夫をすることが必要です。ただ単に気づかせるだけでは逆に意欲が低下してしまうかもしれないので、気づきと自己効力感はセットにする必要があると以前の研修会で大嶋先生は言われていました。障害受容の時期やクライエントの理解度に応じた工夫が必要です。

 

 来年の学会は兵庫です。4年後のWFOTは南アフリカです。次の学会に向けて今の取り組みを形にできるようにしていきます。南アフリカには行きませんが。

 

 最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

認知行動療法に関する演題発表:

精神科作業療法における認知行動療法的関わり

―活動への介入で認知が変容した症例を通して―

岡田 宏基

那須高原病院 リハビリテーション

 

高次脳機能障害者に対する新たな治療手段としての認知行動療法の応用

大嶋 伸雄 1) , 宮本 礼子 1) , 小貫 貢 2)

1)首都大学東京大学院 人間健康科学研究科作業療法科学域 , 2) 獨協医科大学越谷病院 作業療法部門

 

認知機能障害に対する認知行動療法の実施可能性

佐藤 大介 1) , 内山 繁樹 2)

1)千葉県立保健医療大学 , 2) 横浜市立大学

 

大学進学に至った社交不安障害患者への外来作業療法

認知行動療法を併用した効果―

大野 宏明 , 田中 順子 , 井上 桂子

川崎医療福祉大学 医療技術学部リハビリテーション学科

 

Work Ability before and after Cognitive Behavioral Therapy - using the Worker Role Interview as Outcome Measure

Elin Ekbladh , Birgitta Hansson

Faculty of Health Sciences, Department of Social and Welfare Studies, Linköping University, Sweden

広告を非表示にする