認知行動療法講義メモ「第10回講義」
平成26年10月30日
早稲田大学の熊野宏昭先生の講義のメモです。
「認知行動療法講義」の全12回分をUstreamで聴講することができます。
「第10回講義 臨床行動分析と行動活性化療法」
Ustream.tv: ユーザー hikumano1: 「認知行動療法の基礎と展開」第10回講義, 「認知行動療法の基礎と展開」 第10回 臨床行動分析と行動活性化療法 . その他...
11月1日以降に削除されるようです。
講義資料もウェブサイトにアップされています。
http://hikumano.umin.ac.jp/cbt_kougi.html
講義資料は公開を続けるそうです。
以下、メモです。
第10回
臨床行動分析と行動活性化療法
臨床行動分析
行動分析学の応用
言語を用いた治療
対象は大人
面接場面以外では直接的なコントロール力を持たない
言語的な介入に頼るのが特徴
行動の制御に関わる学習原理
随伴性形成行動
→ヒト以外の動物にも認められる学習形式
学習過程が意識されることはない
レスポンデント条件付け
オペラント条件付け
ルール支配行動
→言葉を用いる人間でのみ認められる学習形式
反応強化子随伴性がなくても随意行動が維持される
スキナーが定式化 →スキナー自身は説明できなかった
機能分析
問題行動の維持要因を行動の連鎖にそって明確化する ABC分析
確率操作 →結果の影響力を変える
話の中で仮説を立てる 機能分析
→実際に行動して記録してもらう
一緒に整理していく
行動クラス
→行動の形態は違うが機能としては同じグループ
ターゲットとして一緒に介入することが可能
認知療法の構成要素分析
臨床行動分析
→認知療法の研究結果から生まれた
活動スケジュール法自体に効果があることが認められた Jacobson 1996
2年後のフォローアップ研究でも再発率に差はない
→行動活性化療法の発展へ
行動活性化療法
→機能分析でアセスメントしたうえで活動スケジュールを記録する
うつが維持される要因
1 学習性無力感の維持
2 正の強化が足りない
3 負の強化によってうつ状態が維持されている 回避行動
認知療法の活動スケジュール法 →正の強化を増やすことに注目
行動活性化療法 →正の強化を増やし、負の強化を減らすことにも注目
行動活性化療法のアクセプタンスの概念
文脈とは
ものごとの本質についての主張の意味は、そのものごとが起こっている文脈に由来する
機能的文脈主義
→徹底的行動主義とほぼ同じ意味
プラグマティズム →役に立つかどうか
文脈が違うと行動の機能が違う
TRAPからTRACへ
反芻は行動 →反芻も回避行動とみなす
反芻は私的作用→外見的行動は変わらない
体験への注意技法で介入 →マインドフルネスに近い
身体を動かして自分の身体に注意を向ける
活動記録表
回避しているところがないかを見つけて試しにやってみる
→いつ実行するか予定を立てる
段階的な行動活性化療法 Kanter 2009
活動スケジュール法だけでうつがよくなる人も多い
成功しない場合、機能分析で焦点を当てる対象を決定する
刺激コントロール
スキルトレーニング
随伴性マネージメント
マインドフルな気づきと価値に基づく活性化
Dimidjian 2006
うつ病の重症例では認知療法より行動活性化療法のほうが効果が大きい
価値
→文学的にはその人の生きていきたい方向性
→行動分析的には強化が最大になるような方向性
あらかじめ知ることは難しい
文脈要因として価値を明確化していくことが有用
言葉にしていく
価値もルールの一種
確率操作として働く→目先の嫌な体験を我慢できる
認知の問題に対しては、アクセプタンス、体験への注意技法で対応する
→行動活性化療法の弱いところ
理屈をこねる人には対応が難しいことも