アウトプット日記

読んだ本、文献、作業療法に関する勉強会・研修会のまとめ。個人的な。

『傾聴術ーひとりで磨ける“聴く”技術』

 

傾聴術―ひとりで磨ける“聴く”技術

傾聴術―ひとりで磨ける“聴く”技術

 

平成26年8月12日 読了

まとめ:

  傾聴力とは、(1)話し手の気持ちを理解する力、(2)理解したことを言葉で伝える技術、(3)聴き手が話し手を信頼し、こころもからだも緩めてその場にいられること。

 話し手の気持ち・思いを、聴き手ができるだけありありと、ひしひしと想像して感じながら、「あたかも自分のことのように」親身になって聴く態度が大切

 話し手を共感的・受容的に理解するためには、聴き手が自分自身の感情を、生き生きと、ありありと感じられることが必要。

 

目次:

はじめに

第1章 「傾聴」という援助法について

第2章 傾聴トレーニングの実践ー応答の仕方

第3章 傾聴の実際

第4章 傾聴力をつけるために

おわりに

 

キーワード:

 傾聴に大切なこと p3

【1】自分のことのように想像しながら聴くこと

 悩みや苦しみを抱えている人の話を聴くときに大切なことは、話し手の気持ち・思いを、聴き手ができるだけありありと、ひしひしと想像して感じながら、「あたかも自分のことのように」親身になって聴くことです

【2】話し手をそのまま尊重し受け入れること

 聴き手から「変えよう」とか「直そう」などとされることなく、ありのままを理解され、受けいれられ、無条件に尊重される。そのとき、私たちは自分に対して素直になれます。そしてもっと本音を語り、表現できるようになります。本音を十分に語り尽くせれば、協調的で社会的で成長への意欲に満ちた自分が現れ、育ちはじめるのです。

【3】聴き手が自分自身に素直で、開かれていること

 聴き手の価値観と本心との間に矛盾があればあるほど、話し手のあり方を理解したり、無条件に尊重し受け入れたりすることができません。

【4】聴き手の理解的で受容的な態度が話し手に伝わること

 傾聴することが人の支えになり助けになるのは、聴き手の共感的で受容的な態度が、ある程度は話し手に伝わるからです。話し手の理性的で現実的なこころの部分が大きければ大きいほど、話し手は、聴き手の共感的で受容的な態度がよりたやすく分かります。

 

 聴き手が話し手にほめ言葉や過度のねぎらいを言うのは、「良い聴き手だと思われたい」とか「話し手と仲良しになりたい」といった、聴き手の欲求からくることが多いと思います。聴き手のそのような気持ちは援助の妨げになります。

 プロのカウンセラー(心理療法家)になるには、自分がカウンセリングをしっかり受けて、「話し手から良く思われないとたまらない」という依存的な不安の源になっているこころの痛み・葛藤を、高い程度で解決することが必要です。 p30

 

 話し手は、最も深刻な問題や気持ちについて最初から自由に語れるわけではありません。より話しやすい事柄から始め、聴き手の共感的で受容的な態度が伝わるにつれて、何を話しても安全だと感じられ、徐々に問題の本質へと話が近づいていきます。ですから、話し手の内容がいかに些細でつまらないことのように思えても、真心で耳を傾けることが大切です。 p53

 

 話し手のことをいつも完璧に理解して、ベストのタイミングと言葉で返すことなどはできませんし、そんな必要もありません。ですから、聴き手が理解不足だったり、理解の誤りが明らかになったときにも、あわてることはありません。あわてるのは、聴き手の「完璧でなければいけない」という信念だったり、「話し手からダメな聴き手だと思われるのではないか」という不安のせいです。それらの不安は傾聴を妨げます。理解の不足や誤りが明らかになれば、そのたびに補足・修正していけばいいのです。

 このように、傾聴とは、話し手の気持ちを思いについての理解を、対話を通してより正確に、より深く、より広いものへと発展させていく過程です。 p70

 

 私たちが人を支えるためには、自分自身が高い程度に満たされていることが必要です。自分が満たされていなければ、話し手が苦しさを訴えているのに、それをじっくり受け止めるどころか、自分のことを分かってほしい気持ちが先に立ってしまいます。自分が愛されたくて愛されたくてどうしようもない人には、他人を本当に愛するこころのゆとりは少ないものです。ですから、人の支えになろうとする人は、他人を助けようとする前に、まず自分が援助を得ることが必要です。そうでないと無理をして苦しくなります。

 したがって、人の援助をする人自身がカウンセリングを受けるのは、援助能力を高めるためにとても有益です。 p77

 

 傾聴の本質的な態度とは、話し手が何を考え、何を感じ、何を表現しているのかを、できるだけ話し手の身になって、ひしひしを、ありありと想像して理解し、その理解を言葉で返そうと努めることです。 p109

 

 最も大切なことは、話し手の気持ちをできるだけその人の身になって理解することです。傾聴の専門家になるには、話し手が表現していることを、短く分かりやすく言葉にして返す技術を繰り返し練習して向上させることが必要ですが、理解することの大切さに較べると、「何を言うか」は決して本質的に重要なことではありません。 p115

 

 話し手が良くなってくれることを聴き手が必要とすると、ありのままの話し手を尊重できませんし、話し手には負担になります。聴き手は知らず知らずのうちに話し手に対して、「あなたが良くなってくれないと私が困ります。私のために良くなってください」と迫ってしまうからです。もちろん、聴き手がそんな言葉を口にすることはないでしょうが、聴き手のその思いはどこかで話し手に伝わり、話し手には重い負担になり、話し手ー聴き手関係を妨げます。

 自分がカウンセリング(心理療法)を受けて、こころの痛みや葛藤を解決するほど、ゆとりができます。すると本当に話し手のことを思って援助ができます。聴き手の良さがさらに輝き出し、潜在能力が発揮されるでしょう。 p142

 

 話し手の感情をあたかも自分のことのようにひしひしと、ありありと、生き生きと共感的に想像し感じるためには、聴き手が自分自身の感情を、生き生きと、ありありと感じられることが必要です。カウンセリングを受ければ感情を抑圧する必要性が減りますから、感情に生き生きと開かれてきます。それによって、共感する力を豊かに伸ばす素地ができます。 p143

 

傾聴のコツ p144

【1】傾聴の根本的な態度について

 傾聴とは、とにかく話し手を理解し、その理解を返すことです。話し手への理解の度合いが高いほど、話し手ー聴き手の関係が、話し手にとって安全であり、自分らしさを取り戻し、成長を促す関係になると思います。それはまた聴き手自身にも、人としての豊かさと深さを与える関係でもあると思います。

【2】話し手の気持ちをできるだけありありと想像しながら聴くこと

 共感的な理解とは、話し手が感じていること、考えていること、表現していることを、あたかも話し手であるかのように、話し手の身になって、できるだけありありと、ひしひしと、想像して感じながら一緒にいることです。

【3】相づちは多めに、大きめにしましょう

 言葉を返すだけではなく、相づちやうなずきも、一生懸命に聴いていることを伝えるために大切なことです。

【4】口から息を吐きながら体を緩め、自分の体を感じながら聴く

 傾聴するときには、自分の考えにとらわれるのではなく、話し手に注意を向けながら、注意の何分の一かは自分の体に合わせて体をじっと感じながら、口から息を吐き体をゆったりさせて聴くようこころがけます。

【5】話し手のもつ解決力、成長力をみる態度を根本にもちながら傾聴する

 傾聴と理解という営みの根底に、言葉にはしませんが私たちの意識として、話し手の成長力を見続ける視点が必要だと思います。それによって、成長力が活性化される気が話し手に伝わり、話し手は気づかないうちに感化されると思います。

 

アクションプラン:

話し手をより共感的に理解するためにカウンセリングを受ける